マンガ暴食日記

好き勝手に、新旧のマンガを紹介しています

「ガンダム」を創った男たち。

 今日は、アニメ「機動戦士ガンダム」の制作現場を描いたマンガ、「『ガンダム』を創った男たち。 」を紹介します。作者は「ムダヅモ無き改革」などで有名な、大和田秀樹。「機動戦士ガンダムさん」など、ガンダムのパロディーマンガも書いていたのですが、その番外編的な扱いで作られたのが、この作品です。
 当初は「ガンダム創世」というタイトルで、確か2009年から、「月刊ガンダムエース」に掲載されていました。その後、「機動戦士ガンダムさん」の一部として単行本化されたのですが、改めて「ガンダム創世」をまとめ、更に番外編やコラムなどもまとめ、独立した作品にしたのが、この「『ガンダム』を創った男たち。 」です。



 本作は、事実を元にしたギャグマンガと言う設定で、主人公も富野喜幸安彦良和ではなく、富野ヨシユキ・安彦ヨシカズ となっています。彼らがガンダムを作り上げ、それが日本中でブームになっていくまでを描いています。ガンダムが作られたのは、おもちゃを売るためにロボットアニメが作られていた時代でした。そこに本格的なSFドラマとして企画したガンダムは、世間に受け入れられるまで苦難の連続でした。それでも作品の持つ力を信じ、多くの力を集め、劇場版の大ヒットまでつなげて行く、痛快なストーリーを楽しめます。


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 ギャグマンガと言う事になっていますが、実際のエピソードを元にした部分が多く、ドキュメンタリーを読んだ気になります。もちろん、オーバーなギャグシーンも多いのですが、真面目に劇画調で書かれるよりも、実際の雰囲気が伝わるようにも思います。
 ガンダムに詳しい方は、わざわざ本書を読む必要は無いかもしれませんが、初代ガンダムをリアルタイムで知らない人にとって、当時の様子を知る事ができるマンガです。制作時のエピソードなんて、数えきれない程あるかと思いますが、単行本2巻程度にまとめたのも、読みやすくて好感度が高いです。
 ギャグのテンションが苦手な人もいるかもしれませんが、ガンダムが好きな人には、是非読んでもらいたい作品です。

まんがかぞく 一家4人全員漫画家

 アニメ化もされたマンガ「女子高生 GIRLS-HIGH」シリーズの作者、大島永遠 は、両親と妹の4人家族でしたが、全員がプロのマンガ家という珍しいマンガ家家族でした。その家族模様を描いたエッセイマンガ、「まんがかぞく」を紹介します。2010年、漫画アクション で連載され、全2巻が発売されました。


 

大島やすいち 少年・青年漫画 バツ&テリー など
川島れいこ(水口令子) 少女漫画・レディース 嫁VS姑 など
本人 大島永遠 青年漫画 女子高生 など
三島弥生 4コマ漫画

 以上の4人家族の半生を描いた作品です。物凄くドラマティックな人生という訳ではないですが、多忙で家族と過ごせない父に対する幼い時の印象とか、家族それぞれのマンガとの取り組み方とか、様々なエピソードで楽しませてくれます。


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 後半は、作者の話がメインで、代表作「女子高生」の連載時の話など、マンガ家の裏話を見る事ができます。「バクマン。」など、マンガ家の話が好きな人は、より楽しめるでしょう。作者の持ち味である、ギャグや下ネタを織り交ぜながら、最後はポジティブな、心温まる話にまとめています。
 全2巻と短いですが、小ネタが多く密度があるので、巻数以上の満足感があります。後味も良いので、短めの作品を読みたい時に、お勧めです。

東京喰種~トーキョーグール~

 今日は、まもなくアニメの放送が始まる、「東京喰種~トーキョーグール~」を紹介。メジャーな作品なので、多くの方が知っているでしょう。石田スイのデビュー作のダークファンタジーで、2011年に「週刊ヤングジャンプ」で連載が始まりました。途中、「東京喰種:re」とタイトルを変え、今年の7月、堂々完結しました。

 舞台は、人と同じ姿をし、人を食べて生きる、「喰種(グール)」が存在する現在の東京。主人公、金木研 は普通の人間でしたが、ある出来事により、グール化してしまいます。自分の運命に激しく苦悩しながらも、グールの助けを借り、グール社会の事を知り、自らの進む道を探していく物語です。


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 話が進むにつれ、グールと、敵対的なグールと、グールを追う捜査官との、バトルシーンの割合が増えてくるのですが、このマンガでは、悩める主人公の姿を中心としたドラマが特に人気です。また主人公以外でも、多彩な登場人物が、丁寧に作られています。マンガの世界で生きているのを感じられる細かい描写も多く、どのキャラクターでも主人公として話を作れそうです。
 話の後半、タイトルが「東京喰種:re」に変わってからは、設定が詰め込まれ過ぎた所があり、多少読みにくくなったように感じています。それでも、予想を次々裏切る展開は十分に面白いですし、「東京喰種」「東京喰種:re」合計30冊できっちり完結しているので、最後まで楽しめるでしょう。


 書くまでも無いでしょうが、本作はアニメ版も有名です。ちょっとタイトルが分かりにくいので、整理しておきましょう。

  原作 アニメタイトル
第1期 東京喰種 東京喰種トーキョーグール
第2期 東京喰種 東京喰種トーキョーグール√A
第3期 東京喰種:re 東京喰種トーキョーグール:re
第4期 東京喰種:re 東京喰種トーキョーグール:re 第2期


 最終章となる「東京喰種:re 第2期」は、10月9日より放送開始となります。


 人気アニメにケチを付ける訳ではないのですが、原作ファンからすると、特にアニメの序盤は、話を飛ばし過ぎに感じました。色々な事に悩み傷つきながら、それでも前に進む主人公の姿は、是非原作マンガの方で見てほしいです。
 あと、マンガの各巻に収録されたオマケページが、非常に楽しいです。見所の多い作品なので、アニメ最終章記念で、未読の方は是非読んでみて下さい。


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ソウナンですか?

 今日の紹介は、「ソウナンですか?」。原作は 岡本健太郎、絵は さがら梨々 による作品で、飛行機事故で無人島に漂着した女子高生4人が、そこでサバイバルする話です。2017年に 週刊ヤングマガジン で連載が始まり、昨日3巻が発売になりました。



 特徴は、可愛い女の子が、可愛く無人島生活を送る反面、サバイバルの設定がガチな事です。主人公4人のうちの一人がサバイバルの達人で、使用中の靴下に湿った土を入れて水分を手に入れたり、バッタやセミなども食べつつ、みんなをリードして行きます。アニメ化はできても、実写化は無理でしょう。


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 原作の 岡本健太郎 は、野生動物の狩りや料理のエッセイ風マンガ、「山賊ダイアリー」の作者として有名です。文明的な道具の無いキャンプなどもしていて、それらの経験が作品に活かされています。
 ちなみに、サバイバルの達人の女子高生って、無茶苦茶な設定かと思ったのですが…例えば女性冒険家の南谷真鈴さんは、19歳でエベレスト登頂に成功しています。世界には、もっと若くして様々な冒険を成功させている方もいるので、ありえない話ではなさそうです。


 基本的には、女子高生とサバイバルと言うギャップを楽しむ、笑いがメインのマンガです。遭難していても、悲壮な部分はほとんど無く、気軽に楽しめます。それでいて、テレビ番組の無人島もの(「DASH島」「よゐこ無人島0円生活」など)が好きな方が楽しめるシーンも多いです。
 まだ知名度は低いですが、この先人気が出る作品だと思います。


 10月6日現在、1巻が270円と普段の半額になっています。興味を持った方は、是非今のうちに。

ゴブリンスレイヤー

 今日は、10月アニメ化作品の中から、「ゴブリンスレイヤー」を紹介。元々は、蝸牛くも によるライトノベルで、ここで紹介するのは、黒瀬浩介 によってコミカライズされたものです。2016年の5月より、月刊ビッグガンガン で連載が始まりました。実はこれは、小説1巻発売のわずか3ヶ月後。当初からメディア展開に力の入っていた作品です。現在、5巻まで刊行されています。

 「なろう系」と呼ばれる、投稿サイト発の作品ではないですが、ゲームのような設定の多い、剣と魔法の世界が舞台。最下級(弱い)のモンスターであるゴブリンのみを執拗に退治する戦士と、その仲間たちの活躍を描くファンタジーです。
 本作の特徴は、まず主人公があまり強く無い事。今の流行りのファンタジーでは、やたら主人公が強かったり、特殊能力(スキル)で戦ったりしますが、「ゴブリンスレイヤー」では、そんな便利なものは魔法だけです。主人公は、拾った剣、罠、炎、そして仲間の魔法など、あらゆるものを駆使して戦います。昔ながらのファンタジーと言っても良いでしょう。
 そしてもう一つの特徴が、モンスターの恐ろしさがじっくりと描かれている事。ゴブリンと言うと、雑魚モンスターの代表格です。ゴブリンに苦しめられる村を、冒険者が助けると言うのは、RPG の序盤の定番ストーリーでした。しかし、定番すぎて、モンスターの恐ろしさが感じられない事が多いです。本作は、そこに目を向け、最下級と言えどもモンスターに襲われる恐ろしさが、きちんと描かれています。ほのぼのとしたシーンもありますが、人が無残に殺されたり、犯されたりします。その手の描写が苦手な方は、避けた方が良いでしょう。


 ダークファンタジーとして宣伝されていますが、1巻を除けば、惨たらしいシーンは、それ程多くはありません。シリアスで、リアリティを感じさせるシーンの多い、正統派のファンタジーに近いと私は思っています。D&D とかの、テーブルトークRPGを強く意識しているようで、知っている人ならニヤリとするシーンも多いです。
 登場人物に名前が無かったり、主人公に好意を持つ女性が多かったり、最近流行りの書き方と、昔ながらのファンタジーの雰囲気の、両方を持った作品です。


 売り上げも良いようで、最初に書いた通り、出版社もメディア展開に力を入れています。今回のアニメ化もそうですが、マンガ版も外伝など3種類が販売されています。まずは、ここで紹介している「ゴブリンスレイヤー」を読んでみて、気に入ったら他のものも見てみると良いでしょう。
 11月2日までの、期間限定 無料お試し版があるので、まずはこちらがお勧めです。



 これからアニメの放送が始まり、話題になると思うので、気になった方、こちらのマンガ版の方も見てみて下さい。

怪盗ルパン伝 アバンチュリエ

 最初の紹介は、今一番売れて欲しいマンガ、「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」。誰もが名前を知っている、怪盗「アルセーヌ・ルパン」の原作小説の、コミカライズです。作者は、機動戦士ガンダム関連のマンガなどを書いている、森田崇。2011年に、「イブニング」で連載が始まりました。現在まで単行本10冊が刊行されています(著者再編集版で換算)。

 1900年前後のフランスを中心に、大胆不敵な犯行で話題を集める怪盗、「アルセーヌ・ルパン」の活躍を描く物語です。様々な手段で、フランス警察を翻弄しながら犯行を続ける中、イギリスから名探偵も参戦し、追いつ追われつの活劇が繰り広げられます。
 アルセーヌ・ルパンは、1905年、モーリス・ルブランによって生み出されました。この「怪盗ルパン伝 アバンチュリエ」は、多少のアレンジがありつつも、できる限り原作に忠実に作られています。また、日本人が疎い当時のフランス・ヨーロッパについての説明などが加えられ、非常に読みやすくなっています。ルパンの名前しか知らない人、子供の頃に読んだだけで話を忘れてしまった人などが、手軽にアルセーヌ・ルパンのストーリーを楽しむのに、最適の作品だと思います。
 原作は100年以上前に書かれたもので、古臭さがまったく無い訳ではないですが、100年愛された物語は、21世紀に読んでも十分面白いです。


 ただし、このコミック版、残念ながら色々苦労しています。最初の「イブニング」の連載は2年程度で終了。その後「月刊ヒーローズ」に移籍して再開したのですが、こちらも3年程度で連載終了してしまいました。
 これで終わりかとも思えたのですが、今年になって「ルパン帝国再誕計画」が立ち上がり、Kindle ダイレクト・パブリッシング で既刊本を販売し、続編の出版を狙う事が発表されました。


Togetter:「ルパン帝国再誕計画、始動!」についてのまとめ
https://togetter.com/li/1226096


「怪盗ルパン伝アバンチュリエ」kindle版PV


 アルセーヌ・ルパンの原作は、20冊以上あります。そのうち「アバンチュリエ」で書かれたのは、まだわずか4冊。是非ともこの先も続けて欲しいので、こうして応援しています。本場フランスでも翻訳版が発売されていて、評価も高いので、続刊の発行を祈っています。
 今から読むとしたら、紙の本は本屋では手に入れづらいので、著者再編集版である、Kindle 版が良いでしょう。一部は連載時と順序が入れ替えられ、更に読みやすくなっています。定額読み放題サービスの、Kindle Unlimited の対象となっているので、利用されている人は無料で読むこともできます。本当は、こう言う作品こそ、本屋で長く置いて欲しいのですけどね。
 1話目だけの無料版がありますが、それよりは短編が4作収録された1巻を買うのが、180円と安くなっているのでお勧めです。区切りも良いので、少しでも気になった方は、まずは1巻だけ買っても、満足できるでしょう。


 ちなみに、アルセーヌ・ルパンのコミカライズとしては、以下のような作品があります。興味があれば、こちらもどうぞ。

「怪盗紳士アルセーヌ・ルパン 八点鐘」 著者:JET 全2巻


「VSルパン」 著者:さいとう ちほ 全3巻


「ルパン・エチュード」 著者:岩崎陽子 既巻2巻

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 過去、大量のマンガを買い、置き場が無くて泣く泣く処分してきました。だから私は電子書籍賛成派です。どんな電子書籍の欠点も、「もう捨てなくて良い」と言うメリットには勝てません。そんな訳で、新刊等の紹介や Link は、Amazon電子書籍を基準に行っています。